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【インタビュー】「品位のある彼女」キム・ヒソン #1

現在、BS12で好評放送中の「品位のある彼女」。主人公ウ・アジンを務めたキム・ヒソンが、撮影時のエピソードや共演者、演じたウ・アジンというキャラクターについて語った。

第1回:2018.9.19公開
第2回:2018.9.20公開
第3回:2018.9.21公開

【プロフィール】 キム・ヒソン
1977年6月11日生まれ。10代の時から雑誌やCMモデルとして注目を集め、93年にドラマデビュー。清純派女優として多くにヒット作を生み出すが、結婚・出産を機に休業。12年の「シンイ-信義-」でイ・ミンホを相手にヒロインを生き生きと演じ、華麗に復帰。"韓国最高の美女"と讃えられ、その飾らぬ人柄で老若男女から愛されている。代表作に「悲しき恋歌」(05)、「本当に良い時代」(14)など。

「品位のある彼女」
日本公式サイト http://www.cinemart.co.jp/dc/k/dignity/
BS12作品ページ https://www.twellv.co.jp/event/dignity/

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― 本作への出演のきっかけを教えて下さい。また、脚本を読まれた時の印象をお聞かせ下さい。

今私が置かれた状況ととても似ている点が多かったです。ウ・アジンというキャラクターは一家の嫁であり娘をもつ母親で、私も実際10歳の娘がいます。そして妻としての立場。もちろんアン・ジェソクのような夫に浮気されるような環境ではないけど...。(笑)とにかく普通の専業主婦として賢明な知恵を学びたいと思ったのと、今までそんな役を演じたことがなかったので、演じたい欲も沸いてきました。

そして子どもを育てる母親として、もし実際に私と私の夫がこんな関係になってしまったら、私はどうしただろう、そしてウ・アジンならどうしただろうと比較しながら読んでいたら、ウ・アジンが自分自身のように思えてきて。

だから最初から自分と比較しながら台本を読みました。だから物語の続きがとても気になったし、ウ・アジンがあんな状況をどうやって乗り越えていくのかもとても気になりました。



― キム・ユンチョル演出家やペク・ミギョン作家から、演技に対するリクエストなどはありましたか?

そういったディレクションはなかったです。本当に100%、いや110%を私に任せてくださいました。

劇中に本当にたくさんの出来事が起こりますよね。誰かの母と誰かの父が不倫だとか...。「もしブランチ会でこんなことがあったら、あなたはどうする?」と言って、ウ・アジンとしてではなくむしろ私に、江南に住む母としてブランチ会の親として意見をたまに聞いたりもしました。なので、ペク・ミギョン作家にお会いした時は主に、台本のことではなくて、私の生活のことを話すのが多かったです。




― だから、より台本にそういった部分がうまく溶け込んでいたんですね。

実際、私もブランチ会に参加していますし、幼稚園の集まりもあるし、小学校1年の集まりもあるし。子どもを塾に通わせる母親の気持ちを代弁して話したり。私自身は、そこまで子どもを塾に通わせたいと強く思っているわけではないのですが、塾に行くと学校以外でも社会性を育むことができますから。そんなふうに、ペク作家は私自身のことを話すと喜んでくれるし、とにかくリアルだったようです。

そうやって全部私に合わせてくださったり、私に任せてくださったりでした。



― キム・ヒソンさんが思うウ・アジンという人物はどんな人ですか?演じながら特別意識したり、気を配ったりした部分はありますか?

ウ・アジンも人間なのでミスもしますが、それでも本当に責任感の強い女性だと思います。自分の立場を守りながらも、責任を果たそうとする。そういった女性です。

そして大変なことに直面したとき、困惑せずに賢明に対処できるスマートで賢い女性という印象を受けました。夫がほかの女と浮気していることを知っていながら、子どものためにプライドを捨てるべきときは捨て、子どものために言うべきことははっきり言います。私だったら腹が立ってとにかく怒鳴って、全部諦めてしまいそうな気分になるはずです。でも、ウ・アジンはもっと広い視野で考えていました。

台本を読んで、こんなことを経験しても賢明に対処できるようになりたいと思ったし、一瞬の感情でムキにならずに、最近よく言う"ビッグピクチャー"を常に考えているような、大局を見て皆が幸せになることを考えられる女性、それがウ・アジンらしくてカッコいいと思いました。




― それではウ・アジンを演じられながら常に意識していた部分はありますか?

最初台本を読みながら、腹が立ちました。夫に、「(愛人と共に)共生したい」というとんでもないことを言われますよね。常識的にそれ以上一緒に生きていけないほどの違いすぎる価値観を持っていて、胸は痛いけど、最初は子どもの父だからと、夫にすがりついてもみます。そしてウ・アジンは、江南で事業を行っている財閥家として企業のイメージまで考え、自分の感情を全部表現しません。それが、私はとても悔しかったです。読んでじれったくもなるし、どうして私が不倫を犯したその女の前で、子どものために、父の立場になって泣かなければならないんだろうと、実はどうしても理解できない部分もあります。

その後、初めて3人(ウ・アジン、夫、愛人)が対面したとき、私だったら一発殴ったり髪の毛を掴んで悪口を散々言ってやりたいのに、ウ・アジンは万年筆に例えながら「あなたのものは、自分で買って使いなさい」と言うんです。私の行動よりも、そのセリフの方がもっと痛快で明快でした。

この作品に出演して自分の生き方や対処法をたくさん学べたし、一話一話、台本が出来上がる度にとても気になって。こんなに台本が待ち遠しかったのは初めてなんです。撮影だけで精一杯だし、徹夜するのがとてもしんどいですが、台本は早く出来上がってほしいし、視聴者のように次回が待ち遠しかったです。共演者を含めて全てが息ピッタリだったので、撮影もとても楽しかったな...と、質問とは違う話をしちゃいましたね。(笑)




― 台本上に書かれているウ・アジンの感情をどのように自分なりに解釈して演じようとしましたか?

愛人と夫と三者対面をするレストランでのシーンでは、愛人と夫にそれぞれ別々でアポを取って、3人は同じレストランに集まりますよね。そんな計画を立てること自体、ある意味でウ・アジンの度胸と言えるかも知れません。その場面の最後には、「二人でお別れの酒でも飲んで来なさい」と堂々と自信満々に言ってやるんです。

でも、その部屋を出てからは、辛くてちゃんと歩けないほどになってしまウ・アジンも弱くて、とても辛い部分があります。ドアノブを握って一人でとても深い深呼吸をします。ふらふら歩いて、気を失いそうになるほどに...。

それでもウ・アジンは、子どものために家庭を守り、嫁としての地位も守り続けたいから、我慢しながらも上品な言葉を選びます。それが私との大きな違いです。大声を出さないけど、何か...悪口を言わなくても優しげに、言うべきことは優しく理解できるように、最後までマナーを守りながらはっきり伝えるところが。演じるときはすごく腹が立ちますよ。でも、ウ・アジンそういった振る舞いはとても賢いと思います。



― 撮影に入る前にウ・アジン役をどのように準備されましたか?

まず私がウ・アジンになりきるべきだと思いました。どうも私と似ているような状況なので、ウ・アジンになりきるためにおまじないを唱えたり、特別な努力はしませんでした。

最初は別に準備しなければならないというより、ウ・アジンというキャラクターの30%は既に私が持っていたので、気楽に撮影しました。序盤のウ・アジンは平凡ですし、パク・ボクジャに初めて会うのも義理のお父さんの介護人としてだったので、演じる私自身にも葛藤はなく。ドラマの序盤ではウ・アジンにあまり事件や事故は起こらないですしね。




― ウ・アジンはギャラリーのキューレーターとしても活躍しますが、キム・ヒソンさんもアートに興味はありますか?あるいは今一番はまっているものがあるとしたら何ですか?

最近はこどもと一緒にアートに触れるようにしています。最近漠然と、子どもが大きくなるほど一緒にできることは無くなるんだ、と思いました。小さいときは一緒に家で遊んだりしますが、学校に入って塾に通うようになってから、私と過ごす時間が減りました。そして私が仕事を終えて帰ったら、子どもは寝ているときもあるし。

だから休みの時だけでも一緒にできることはないかなと思い、絵画を一緒に学ぶことにしました。子どもは絵画を5年ぐらい学んでいます。私は大きな絵画に挑んでみたくて50号、100号の絵を、子どもと一緒に描いています。10年後は二人で小さなカフェで展示会を開きたいなという漠然とした考えで絵画を学び始めました。ちょうどウ・アジンには絵画を見るセンスがありますよね。私はそれほどではないですが、実際に絵画を学ぶと色んなことを考えられるし。なにより子どもと一緒にできるのがいいですね。

あとチェロも一緒に習っていますよ。楽器は、ピアノとバイオリンに挑戦してみたのですが子どもの興味がないようで。無理やりやらせちゃダメだから、チェロを学び始めました。でも、子どもに「これを学びなさい。」とやらせたら、むしろ逆効果だと思えて。だから私が先に家でチェロを習い始めました。そうしたら、私が学ぶのを見て子どもも一緒に学びたいと言ったので、最近は一緒にチェロを習っています。



<第2回へつづきます>

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公式サイト:http://www.cinemart.co.jp/dc/k/dignity/

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