【中国時代劇トリビア】第5回:中国商人<前編>
2019年2月12日 12:45
今回の歴ドラコラムでは、「月に咲く花の如く」に登場する中国商人に関する豆知識をご紹介していきます。封建社会が根強く残る商人の世界に、女だてらに飛び込んで、類まれなる商才を発揮したヒロイン周鎣。彼女を取り巻く中国商人の社会とは!?
中国商人は非常に結束力が固いと言われています。商人たちが地縁や血縁、同郷意識のもとに協力してお互いに助け合う団体を商帮(シャンパン)と呼び、明・清の時代に大きく発展しました。その中で、歴史的に大きな影響力を持った団体に十大商帮というものがあります。土地柄、そして取り扱う商品などによってその商帮の性質は異なり、それぞれ個性豊かな商人気質を備えています。まずはドラマでも登場した呉家に近い商帮をご紹介します。
① 陝西商帮
・我らが呉聘様!が所属するのが、こちらのグループ。経営業種は幅広く、主に絹布業、茶業、毛皮業、薬材業、水烟(みずたばこ)業など。
【商人特徴】
・勇猛果敢なチャレンジ精神の持ち主...陝西商人は商品取引のために、少数民族の住む地域や山賊出没地域、または交通不便な辺境にも向かうことがあり、商売の際にも武器や護衛が必要だった。武術に秀でる勇猛な強さも求められた。
・適応力と忍耐力がある...行商が多く、辺境での商売にはメンタルの強さも必須!
・質素で勤勉...陝西商人成功の秘訣。呉家では自分たちの学び舎も持っていましたね。質素倹約が商売繁盛へつながる!
・独特の経営方式...現地に買付場所を持つ。一年間の掛買、掛け売り(連環方式)の採用。
②山西商帮
・陝西商帮とお隣組なので、習慣などがとても似ている。主に塩、生糸、食糧、綿布などの軍需用品を取り扱い、金融業もおこす。
【商人特徴】
・勤倹で苦しみをいとわず、信義を守って人を欺かない...山西の厳しい自然環境によって培われた精神。呉家家訓にもありましたね!
・関公(三国志の関羽)を崇拝...これまた呉家にも大きな飾りがありました~!
・共同経営を好む
・土地に投資し、商人・地主・官僚とつながりを強くする
・金融機関(票号)を設立した
次回は、さらに地域を広げていくつかの特徴的な商帮をご紹介します。
Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)にて執筆記事掲載中。
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<参考文献>
徳間書店 曹天生著 尾鷲卓彦訳「中国商人―知らざれる歴史 語られざる知恵」
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<このコラムに登場した作品>
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