Cinem@rt エスピーオーが運営するアジアカルチャーメディア

韓国に関するイベントのレポートをお届けします。

【イベントレポ】「2018 Mnet Japan Awards」受賞作品発表&韓流ドラマ業界トークショー<中編>「最終回で亡くなるはずだった」

3月7日に韓国文化院ハンマダンホール(東京)で行われた、「2018 Mnet Japan Awards」受賞作品発表&韓流ドラマ業界トークショーの模様をお伝えします。

Mnet Japan Awardsとは、Mnet Japanで2018年1月から12月に放送された番組の中から韓流ファンの投票によってドラマ部門、バラエティ部門のグランプリを選ぶアワード。受賞作品発表の前に、TOP3に選ばれた作品の版権会社のスタッフが登場し、韓流ドラマ業界のトークショーが行われました。

前編「1話につき何回キスシーンがあるか」 2019.3.26公開
中編「最終回で亡くなるはずだった」 2019.3.27公開
後編「今年ブレイクする4人のイケメン」 2019.3.28公開

===============



イベント MC古家正亨(以下、古家) 皆さんそれぞれ作品を買い付けるときの基準みたいなもの、絶対にあると思うんです。今回、各社作品がノミネートされていますが、それぞれ何が決め手になったのか、教えていただけると嬉しいです。ホさん、買い付けの基準を聞いちゃってもいいですか?

ストリームメディアコーポレーション ホ・ソンジンさん(以下SMCホ) 少し会社の話をさせていただくと、"ストリームメディアコーポレーション"は聞きなれない会社名だと思うんですが、今年1月からこの社名になったばかりで。その前は"デジタルアドベンチャー"という会社名だったんです。

弊社の親会社は"キーイースト"という、皆さんご存知ペ・ヨンジュンさんが興した会社なんです。そこに所属しているパク・ソジュンさんだったり、キム・スヒョンさんだったり。まずはキーイーストの所属俳優たちの出演作は必ず権利を購入するようにしています。そのおかげでプロモーション活動に協力していただきやすくなったり、そういう面でメリットがあるのかなと。

古家 最近、来日される俳優さんが少し減ってしまった印象があって。かつては大勢の俳優さんがイベントやプロモーションに日本に来てくれましたが、今は放送時期だったり発売時期だったりに誰でも来日できるわけではない状況になっています。でも、そういった面で関連会社だからこその強さはありますよね。

SMCホ 他社よりはそういった面で強みはありますね。ただ出演作の視聴率がよくなかったり韓国で反応がよくなかったりすると、俳優さんも人間なので...。(会場笑)そういうケースもあります。

古家 貴重なお話を聞けましたね...!でも、来ない人がみんな視聴率が良くなくて落ち込んでいるわけじゃないので!それだけはお間違えの無いようにお願いします。(会場笑)

中田さんはどうですか?

エスピーオー 中田紀廣さん(以下、SPO中田) お客さんが見る3大要素というのがありまして。これは韓国ドラマに限らずですが<ジャンル><キャスト><ストーリー>です。この3つをよく議論します。

「無法弁護士(原題)」関して言うと、<キャスト>。やはりイ・ジュンギさんが決め手になりました。(会場拍手)弊社は前作の「クリミナル・マインド:KOREA」も担当させていただき、それ以前のイ・ジュンギ作品にも縁がありました。継続して彼の作品を手掛けてきたこともあり、新作の「無法弁護士(原題)」も担当させていただけました。(会場拍手)

「クリミナル・マインド:KOREA」より。
c 2017 Buena Vista International, Inc. ? Produced by STUDIO DRAGON in association with ABC Studios ? Original U.S. series "CRIMINAL MINDS" created by JEFF DAVIS ? ? Original U.S. series "CRIMINAL MINDS" produced by ABC STUDIOS and CBS TELEVISION STUDIOS


古家 今までの数倍の大きさの拍手が起きてますけど。(会場笑)
継続は力なりじゃないですが、良い関係が作れると買い付けの時にも有利に働くことは多少あるんですか?

SPO中田 多少ありますね。
あと俳優さんの中で一番、イ・ジュンギさんはユーザーの方々の熱さが分かりやすい方だと思います。(会場から大きな拍手)

古家 中田さん、お客さんを事前に仕込んでないですよね?中田さんの言う事ひとつひとつに反応が大きいですよ。(会場笑)

SPO中田 今日はずっとイ・ジュンギさんの話をすればいいですか?(会場笑&大きな拍手)

古家 わかりやすい拍手ありがとうございます(笑)。
秋山さんはいかがですか?

コンテンツセブン 秋山朋子さん(以下、C7秋山) <ストーリー><キャスト><スタッフ>というのが、作品を選ぶ際の大きな要素だと思います。

今回うちのイチオシでもある「マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~」は監督と脚本家が決まった段階で、買い付け担当が「この作品は絶対買う!」と。キャストも良かったので、ますます権利購入するつもりでいたのですが、シノプシス(=あらすじ)を見たときに、イ・ソンギョンさん演じるドンフンがラストで亡くなるって書いてあって。(会場から驚きの声)

弊社の買い付け担当者が「絶対死なせちゃダメだよ!」って。韓国の担当者にもそのことを熱く伝えたりしていたんですが、監督も脚本家もご自身の信念があるので、なかなか変えられず。韓国の担当者と「残念だね」なんて話をしていたみたいなんです。でも放送されたものを見たら結末が変わっていて。「良かった!」って言ってました。



「マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~」日本版予告編



古家 すごいですね!日本の買い付け担当者の熱が!監督と脚本家を動かした!

C7秋山 ・・・はい!動かしました!(会場笑)

古家 でも韓国ドラマのすごいところって、やはり視聴者やファンの声で、キャラクターが長生きしたり死んじゃったりするところ。(会場笑)今は事前制作ドラマが増えたのでかつてほどではないですが、そういうことが大胆に行われているところが韓国ドラマらしさのひとつだったりしますよね。

さて、日本で初めてテレビ放送されるタイミングでは、ドラマのタイトルが「○○〇(原題)」とつくものが多いですよね。初放送が終わり、DVD化される時に日本でのタイトル、いわゆる邦題に変わることが多い。

この邦題に対して賛否両論があったりしますよね。版権会社の皆さんは、ファンの皆さんからキツイお言葉をいただくこともあるんじゃないかと思うんです。邦題に関して、どうしてこういったタイトルを付けたのか、こういうコンセプトでビジュアル的なイメージを作ったのかなど、話せる限りで良いんですが、お話をお聞かせください。
まずは中田さん、いかがでしょうか?

SPO中田 僕からですか!?(会場笑)弊社は2004年から韓国ドラマを扱い始め、いろんな事をさせていただきました。お叱りをすごく受けたこともあるし。ただ、今では私たち以上に情報を知っているユーザーの方も増えています。なので弊社では今、出来るだけ韓国オリジナルのタイトルやビジュアルをどう活かすかと考えることが多いですね。

例えば、古家さんもお好きな「ミセン-未生-」とか。日本では当然「"ミセン"って何?」となってしまいますが、議論を重ねてタイトルはあえて変えなかった、という作品もあります。

「ミセン-未生-」より。c CJ E&M Corporation,all rights reserved.



古家 この作品はあえてそのままで進めよう、ということもあるんですね。

SPO中田 そうですね。あとはサブタイトルで日本的な要素を補うことの方が、弊社は今は多いですね。

SMCホ 弊社でも韓国語のわからない言葉だったりすると社内で議論になることは多いです。ただ、最近は"アンニョン"とか"アジュンマ"とか韓国語を聞きなれている方が多いので。"トッケビ"も韓国語ですが、思いっきり韓国語でも行けるなという考えがありました。オリジナルタイトルを活かしつつ、サブタイトルをつけることで日本でもわかりやすい邦題にするケースも確かに多いですね。

C7秋山 弊社は邦題をどうするか、毎回難しいところで。韓国放送時から作品を知っていて、いい作品だと言ってくださる方にとっては原題のままがベストだと思います。でもライトなユーザーの方たち、例えばテレビ欄やレンタル屋さんで初めて作品を知るという方もいて。特に「私のおじさん」に関しては、すごくいい作品だけれども、韓国のイメージそのままで日本に持ってくると、手に取りづらく感じる方も多いかなとも思うんです。

古家 韓国のビジュアルは重い印象を受けますよね。

C7秋山 そうですよね。入り口で「自分の好みじゃなさそう」と思ったが為に、せっかくの良い作品を見ていただけないのは残念だと思うんです。それで弊社の方では「マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~」とオリジナルを少し変えて、邦題を出しています。

古家 たしかに韓国のビジュアルって、すごくシックなものが多いですよね。

C7秋山 シックなもの多いですね。あとセンセーショナルというか、インパクトの強いものも多いです。

SMCホ ビジュアルに関して言うと、韓国国内で展開する場合は自由に表現ができますが、日本で展開するときはDVDパッケージのことを考えないといけません。縦長でA5サイズよりやや小さいぐらいのサイズの中に、インパクトを持たせて、主人公が誰かもわかるようにしなくちゃいけない。だからバストショットぐらいの主人公2人を入れるのが、日本では定番になっているんです。

前は俳優が正面を向いていることが多かったんですけど、「太陽の末裔 Love Under The Sun」が横向きでキスをするという改革的なビジュアルでヒットしまして。最近は横向きも増えてきました(笑)。



「太陽の末裔 Love Under The Sun」日本版予告編



古家 いまレンタル店に行くと、みんな横向きになっている!?(会場笑)やっぱりそういったところは結構意識されますか?正面とか、横向きとか。

SPO中田 しますね。正面2ショットは日本の定番のビジュアルの作り方だったんですが、「太陽の末裔 Love Under The Sun」以降は、横向きとキスぎりぎりのショットのビジュアルが増えました。

古家 これ帰りにレンタル店に行ったら楽しいかもしれません。「ほんとに横向いてる!」って。(会場笑)

SPO中田 意図があってのことなので、バカにしちゃだめですよ!(会場笑)

古家 そうそう、意図がちゃんとありますからね(笑)。レンタル店に行く楽しみがまた増えましたね。

<後編へつづきます>

===============

古家正亨レギュラー出演中!
「MタメBANG!~ただいま打ち合わせ中~」


Mnetで毎月第1,3,5週(木)23:30~オンエア中。
http://jp.mnet.com/



記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP